ジェット旅客機の離陸時の速度

最終更新日 2021年1月30日

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ジェット旅客機の離陸速度

ジェット旅客機の離陸速度はF1レーシングカーの最高時速並みです。例えばボーイング787型ジェット旅客機の離陸時の速度は時速300㎞、機体の重量は250トンに達する時がありますが、実は離陸時のスピードは毎回違います。パイロットはその便の状況を考慮して離陸時の速度を計算し、安全を確保しています。ジェット旅客機の離陸時の速度や種類はどんなものがあるかご紹介いたします。

300km/hを超えるF1並みの速度で離陸

例えば、現在の最新型ジェット旅客機のボーイング787型機の場合、機体とエンジンの組み合わせにもよりますが、最大離陸重量は550000ポンド、約250トンにもなり、離陸する時は時速300kmを超える速度で離陸します。
離陸には3000mを超える滑走路が必要になります。

旅客機の離陸速度には種類があります。
飛行機は操縦桿を操作してすぐに浮き上がるわけではありませんし、
飛行機を空中でコントロールするにはある程度の速度が必要です。
更に、火災など重大な故障が発生した場合には離陸を継続すると危険なため、滑走路上で止まることも必要ですが、滑走路の長さは限られているため一定以上加速すると滑走路内で止まることができなくなります。
そのため、離陸を決定する速度V1や、引き起こしを開始する速度Vrなど数種類の速度をその日の状況に合わせて決定してから離陸を開始します。

速度の種類 V1, Vr, V2

パイロットはその日の機体の状況(機体やエンジンの種類、フラップの角度やエンジンの離陸推力)、重量や気象状況(気温や気圧、風向や風速)、滑走路は乾いているのか、雪が積もっているのか、積もっていればどのくらい積もっているのか、離陸経路上の障害物の状況など、種々の条件を考慮して離陸の速度を決定していきます。

V1: 離陸決定速度(Takeoff Decision Speed)

離陸決定速度V1は、離陸の中止を決定した時にパイロットが停止操作をする最大速度、であり離陸を続ける場合には滑走路の範囲内で安全に離陸できる最小速度です。すなわち、V1までに重大な故障が発生すれば離陸中止し、V1以降であれば残された滑走路では止まれないので離陸を継続します。

このV1は所定の範囲内で決める事ができます。
V1を大きくすれば離陸に必要な距離は短くなりますが、停止するのに必要な距離は長くなります。障害物等が無い場合、エンジン故障の際に離陸に必要な距離と停止に必要な距離が等しくなる速度を使用するのが、一般的に最も滑走路を効率よく使用することができます。

V1は230~300km/hくらいです。

Vr:引き起こし速度 (Rotation Speed)

引き起こし速度Vrは操縦桿を引き始める速度です。引き起こし操作をすると、数秒後に機体が地面から離れ始めます。飛行機はある程度の速度がないと空中でコントロールすることができませんので、Vrは空中でコントロールできるスピードに少し余裕を持たせて決定します。また通常時でも、エンジン故障の際でも余裕をもって浮き上がることのできる速度に設定します。

Vrは通常V1と同じか少し大きい位です。

V2:安全離陸速度 (Takeoff Safety Speed)

離陸安全速度V2は、この速度に達していれば安全に上昇していくことができる速度で、機体が失速したりコントロール不能にならないように余裕をもって設定します。

V2はVrより5~10km/h程度多い速度のことが一般的です。

離陸時のコックピット

以上で紹介した速度以外にも更に色々な速度が定められていますが、通常パイロットが離陸前にコックピットで計算している速度はV1,Vr,V2の3種類です。これらの速度は重要なので、二人で確認しながら離陸しますが、操縦を担当しているパイロットは操作や前方の監視も重要なので、もう一人のパイロットがV1,Vr,V2に達したら読み上げます。操縦を担当していない方のこのパイロットは他にも、エンジン計器を監視したり、管制官との無線通信を担当しています。

離陸の瞬間は色々な状況を瞬時に判断しなければならないため、集中が必要とされる瞬間です。

無事に離陸した飛行機は、更に加速を続け、通常高度約1000mに達するとフラップを上げながら、時速約500km/h程度に加速します。
高度約3000mになると巡航速度に加速しながら巡航高度まで上昇していきます。

”翼を持たずに生まれてきたのなら、翼を生やすために、どんな障害も乗り越えなさい。”
- ココ・シャネル - (フランスのファッションデザイナー)