最終更新日 2021年3月17日
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乗務機種により大きく異なるスケジュール
エアラインパイロットはどんなスケジュールで飛んでいるのでしょうか。スケジュールは基本的に一か月単位で発表されます。
過労による事故防止のため、航空法により乗務してもよい時間が24時間、1か月、3か月、そして1年でいくらまで、といように規制されています。どこの会社も一か月で90~100時間の規制が多いようです。一か月のスケジュールは自分が乗務する機種によって大きく異なります。パイロットのライセンスは機種毎に与えられますので、基本的には一つの機種しか操縦することはできません。自分の乗務している機種がB777やB787などの国際線主力機の場合、スケジュールはほとんど国際線です。
国際線
Boeing777やBoeing787などの乗務している場合、勤務は国際線が主体になります。アメリカやヨーロッパへの長距離国際線から、インドやハワイ、東南アジアを中心とした中距離国際線、そして、中国や台湾などの短距離国際線などが含まれます。これらの路線が組み合わされて一か月の乗務スケジュールが組まれます。
長距離国際線の場合、1泊3日や2泊4日のパターンが多いです。ニューヨークやロサンゼルス、パリ、ロンドンなどです。例えばニューヨーク路線は往復で25時間程度の乗務時間になりますので、月に3回ニューヨークへ行くとほとんど一か月の乗務時間制限いっぱいとなります。これだけ聞くと月に3往復だけの仕事で楽に聞こえるかもしれませんが、帰ってきてきて3~4日の間にやっと時差が直ったと思ったらまた出発、といった生活になり、徹夜も多くなりますから身体への負担は大きくなります。
中距離国際線は大体1泊3日のパターンで行きか帰りどちらかが徹夜のパターンがメインです。飛行時間としては片道6~8時間程度の距離が多く、バンコクやシンガポールなどへ飛行します。
色々な国に行くことができて自分の視野が広がると思います。
始めて自分で操縦する飛行機で海を越え国境を渡っていったときには、とても感動したのを覚えています。ちなみにパスポートのスタンプがたくさん集まるだろうと期待していたのですが、ほとんどの国では乗務員は別の入国書類で通過しますので、パスポートにスタンプを押してもらえることはあまりありません。
国内線
乗務している機種がB737やAirbus320などであれば国内線と近距離国際線が主体の生活になります。国内線は距離も短いので一日に3~4路線くらいのフライトを行います。
羽田-福岡-羽田-伊丹と飛んでその日は大阪にステイ。二日目は、伊丹-羽田-千歳-羽田といった具合です。国内線の便間は短いので目的地の空港に着いたら、トイレに行ってすぐ次の便の準備といった感じで、慌ただしくもあります。
国内の各地にステイする機会が多く、日本各地のグルメを楽しんだり観光したりと楽しみも多いです。2泊~3泊くらいして、一連の勤務が終了となるパターンが多いです。
日本の航空会社では乗務スケジュールは選べないことが多い
それでは、自分の好きな路線を選んで飛べるのでしょうか。ヨーロッパが好きな人なら、一か月の仕事を全てパリやローマだったら最高ですよね。残念ながら、日本では自分の好きな路線を選べることはまだ少なく、主に会社に指示されたスケジュールをこなします。
海外では、セニョリティと呼ばれる年功序列のシステムで、長く会社に所属しているパイロットから、好きなパターンを選んでいくシステムを採用しているところがあります。これであれば、来月はプライベートを充実させたいからあまりベースの国を離れない乗務スケジュールにしよう、などといった柔軟な働き方が可能になります。
”いかにいい仕事をしたかよりも、どれだけ心を込めたかです。”
- マザー・テレサ - (カトリック教会の修道女、ノーベル平和賞受賞 )