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パイロットの世界 雑記

コロナウイルスとパイロットの技量維持

コロナウイルスの影響により社会は大きな影響を受けています。

世界各国で渡航制限や入国制限が広がり、3月には日本も外務省が全世界への渡航自粛を要請しました。世界では4月現在、経営破綻する航空会社も出てきており、航空業界全体が苦境に立たされています。そんな中、パイロットへの影響を技量維持の観点から考えてみたいと思います。

コロナウイルスにより自宅待機のパイロット

日本では、従業員の解雇が簡単ではないことから、海外の航空会社に雇用されているパイロットのように、業績が悪化したからといってすぐにレイオフとはなりません。

しかしながら、需要の激減に伴い国内線、国際線ともに大幅に減便されていて、我々が乗務する便がありません。パイロットは、一部の管理職のパイロットを除き、普段はデスクワークや会議は少なく、仕事の大半が航空機の乗務です。

したがって飛ぶ便の無い現在は、自宅待機に近い状態です。

パイロットの技量維持


ここで懸念されるのが、「最近の飛行経験」の維持です。
航空法では、パイロットは飛行機を操縦する際に、
・90日に3回以上の離着陸
・180日に6時間以上の計器飛行
の経験がないと乗務できない、と定められています。
航空法では、この経験はシミュレーターでの経験でもよいことになっているので、操縦機会の減少はシミュレーターで補うこととなりそうです。

しかし、シミュレーターと実機では、やはり質が大きくことなります。実際のフライト経験に勝るものはありません。それを少しでも補うのが、イメージフライトと、勉強でしょう。

イメージフライト

イメージフライトは、どこでもできるいい訓練です。可能であればコックピットの計器類も模擬したポスター等の前に座って、なければ頭の中で、フライトのさまざまなシーンを想像しながら、イメージトレーニングします。
緊急事態を想定してスイッチ類の操作手順や緊急着陸する空港への侵入方式を確認したり、悪天候の空港への着陸のイメージを復習したり。もちろん全ての事態を想定する事はできませんが、こうして様々な事態を想定して、自分の中で準備しておけば、実際にその場面になっても慌てずに対処する事ができます。
これはフライトに限らず、ほかの仕事や場面に応用できるはずです。

勉強も普段は仕事で忙しくてじっくりと腰を据えて取り組めなかった課題に向き合うことができます。パイロットの勉強でいえば、航空法、気象、航空機の性能・システム、管制システム、就航国の法規や、各空港の特徴などでしょうか。

コロナウイルスの影響がどのくらい続くかは、神のみぞ知る、ですが、運航が再開されたときにベストな状態でフライトに臨めるよう準備しておきたいものです。

 

”毎日一歩ずつ前進するように、がんばり続けるだけだ。そうだ一歩ずつだ。” 
- マイルス・デイヴィス - (米国のジャズトランペット奏者)

参考:航空法・航空法施行規則

(最近の飛行経験)

第六十九条 航空機乗組員(航空機に乗り組んで航空業務を行なう者をいう。以下同じ。)は、国土交通省令で定めるところにより、一定の期間内における一定の飛行経験がないときは、航空運送事業の用に供する航空機の運航に従事し、又は計器飛行、夜間の飛行若しくは第三十四条第二項の操縦の教育を行つてはならない。

(最近の飛行の経験)

第百五十八条 航空運送事業の用に供する航空機の運航に従事する航空機乗組員のうち、操縦者は、操縦する日からさかのぼつて九十日までの間に、当該航空運送事業の用に供する航空機と同じ型式又は当該型式と類似の型式の航空機(第三項において「型式航空機等」という。)に乗り組んで離陸及び着陸をそれぞれ三回以上行つた経験を有しなければならない。

2 夜間における離陸又は着陸を含む前項の運航に従事しようとする場合は、同項の飛行経験のうち、少なくとも一回は夜間において行われたものでなければならない。ただし、同項の運航が次の各号のいずれにも該当するときは、この限りでない。

一 前項の当該航空運送事業の用に供する航空機について定期運送用操縦士若しくは准定期運送用操縦士の資格に係る技能証明(当該技能証明について限定をされた航空機の種類が飛行機であるものに限る。)又は第三十四条第一項の計器飛行証明を有する者が行うものであること。

二 第六十条の規定により計器飛行又は計器飛行方式による飛行を行う場合に装備しなければならないこととされる装置(同条ただし書の許可により装備しなくても計器飛行等を行つてもよいとされたものを除く。)を装備している航空機により行うものであること。

三 離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は着陸及びそのための降下飛行のうち夜間に行うものを、国土交通大臣が定める経路若しくは第九十六条第一項の規定により国土交通大臣が与える指示による経路、国際民間航空条約の附属書六及び附属書十一として採択された標準及び方式を採用する締約国たる外国が定める経路若しくは当該外国が与える指示による経路又は国土交通大臣が適当と認める経路により行うものであること。

3 型式航空機等の模擬飛行装置を国土交通大臣の指定する方式により操作した経験は、第一項又は前項の経験とみなす。

第百六十一条 第六十九条の規定により計器飛行を行う航空機乗組員は、操縦する日からさかのぼつて百八十日までの間に、六時間以上の計器飛行(模擬計器飛行を含む。)を行つた経験を有しなければならない。

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作成者: becomeapilot

日系大手エアラインパイロット。
小学校の頃に家族旅行で飛行機に乗って以来パイロットの仕事に憧れてきました。
航空大学校を卒業後に就職。
国内線・国際線に乗務し世界を楽しく飛び回っています。

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