航空身体検査の受験対策

最終更新日 2021年7月18日

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自分で航空身体検査を受験できる

受験対策の中で私自身一番心配していたのが航空身体検査でした。
勉強であれば自分の努力した分だけ能力は伸びますので、単純にしっかり準備・努力した人が試験を通過できるわけです。しかし、この航空身体検査だけは自分の努力ではどうにもならない部分もあります。その点が、例えば医師・弁護士等といった職業を目指して努力するのと異なる部分であり、パイロットとしてのライセンスの競争力を高めている点でもあると思います。
インターネットで「航空身体検査マニュアル」と検索すると、航空身体検査の適合基準が公開されていますから、一度目を通しておくとよいかもしれません。

私の場合は、勉強のために努力したかったのですが航空身体検査の基準を満たしていなければ、勉強で努力しても無駄になってしまうということを心配していて、なかなか身が入らなかったので、パイロットとして航空身体検査をパスする身体なのか事前に検査してもらうことにしました。
航空医学研究センターのホームページや、インターネットで検索すると、近くの航空身体検査医を調べることができます。その病院で、事前に身体検査にパスできる身体であるか調べて欲しいと相談すると快く引き受けてもらえると思います。実際にそうしている人も結構いました。航空身体検査の内容自体は、実際に受けてみるとスーパーマンでなくてもごく普通の人でも通ることが実感できました。同時に健康に産んでくれた両親に感謝する瞬間でもあります。検査結果はほどなくして分かるので、これにパスすれば努力しても無駄でないと安心して他の受験対策に臨めるわけです。

矯正視力でも大丈夫

航空身体検査で心配な点でよく聞かれるのが、視力やメガネの使用、アレルギー疾患の一つの花粉症でしょうか。現役のパイロットでももちろんメガネの人はたくさんいますし、花粉症の人もたくさんいます。条件を満たしていれば航空身体検査は問題なく合格できますので安心してください。

まず視力に関してですが、航空医学研究センターで公開されているマニュアルによると、視力に関しては、「眼」と「視機能」という項目に分類されています。
「眼」の項目で注意するポイントはオルソケラトロジーによる視力回復や、レーシック手術は不合格になってしまうところでしょうか。遠距離視力などが満たせていたいからといって手術を受けてしまうと、今の日本では旅客機のパイロットとしての道が閉ざされてしまうので注意する必要があります。

次は「視機能」という項目ですが、内容の詳細はマニュアルを見てみてください。皆がよく心配する遠距離視力は、
イ 各眼が裸眼で0.7以上及び両眼で1.0以上の遠見視力を有すること。
ロ 各眼について、各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上、かつ、両眼で1.0以上に矯正することができること。
となっています。
要するに、裸眼で視力が出ない場合でも一定度の強さの眼鏡で矯正できれば大丈夫ということです。

花粉症

花粉症についても、乗務において副作用の影響が無いと認められれば内服薬や点鼻薬も使用可能になっています。基準では航空業務に支障を来すおそれのあるアレルギー性疾患がないこととなっており、定められた薬で症状を緩和することができれば乗務可能です。私の周りでも春になってスギ花粉が飛び始める季節になると、アレグラなどの薬を服用して乗務に当たっているパイロットをたくさん見かけます。航空会社にはたいてい航空身体検査に詳しい部署が設けられており、そこで相談すれば乗務のときに服用してもよい内服薬を処方してもらえます。
その他にも心配な個別の案件があれば、航空身体検査を実施している病院に問い合わせてみてもよいかもしれません。

受験対策

いよいよ受験対策です、と言いたいところですがこればっかりはその人自身の健康管理の方法を見つけていくしかないのが現実です。ストイックに健康管理をする人もいれば、飲みたい時に飲んで食べたいものを好きなだけ食べるほうがストレス無く過ごせるという人もいるでしょう。ただし、前日の睡眠時間は十分に確保してください。

私はといえば、積極的に健康管理をしています。努力してもダメだった時には諦めがつきますが、自分の納得するまで取り組まずに悪い結果になれば後悔しか残らないと思うからです。特別な事はしていませんが、バランスの良い食事や十分な睡眠時間の確保を心がけています。常識的な範囲での健康法の情報には注目していますし、大学でも栄養学を学びました。心身の健康のためにも軽い運動を日頃から取り入れています。入学・入社試験の前にはランニングを欠かさず行っていました。

自分で色々と調べて目標に向かって取り組んでいけることも素質のひとつかと思います。是非、みなさんも少しずつ始めてみてください。受験対策というのもひとつですが、毎日健康で過ごせるようにするのもプロとして、そしてなにより毎日を充実させるために大切な事だと思います。

”もちろん、生まれつきの能力の問題も、まったく無視はできない。それでもやはり、これはおまけみたいなものだ。絶え間なく、粘り強く努力する。これこそ何よりも重要な資質であり、成功の要といえる。”
- トーマス・エジソン - (アメリカの発明家、起業家)